【通報?やれるもんなら、やってみな】久しぶりのお持ち帰り
夜、暗い中、のこのこと。少年か少女か、パッと見ではわからない。
このあたり、治安はいいけど、そうはいっても油断はできない。
それにしても、この美しさ。神に感謝。
声をかけることもなく、そっと手を差し出したら、素直に腕をつかんできた。
そのまま家に連れ帰る。
Mだとうれしいけど、どっちかな。
見た目でまだ判断できなくて。
違いの分かる男になりたい。
しがみつく腕には、爪が食い込んで、少し痛い。
怖いのだろう。
ナウシカのように、しかし、ナウシカとは異なり、心の中で語りかける。
「こわくない、こわくない」
腕から強引に引き剥がし、窓際の撮影場所にやさしく案内する。
フラッシュをたくと、たまに通る通行人にも怪しい光が見えるだろうが、かまわない。
何をしているかは、決してわからないだろう。
最初は少し落ち着かず、歩き回ったが、覚悟を決めたのか、今はじっとしている。
これから楽しませてもらうよ。
これからオトナになる君。
白くて美しい肌。
たっぷり、舐めるように見せてもらうよ。
写真も好きなだけ撮らせてもらう。
いろんな角度からね。
ああ、草稿を書いているうちに、勝手に脱ぎ始めた!
「はやい、はやいよ」
ガンキャノンに搭乗するカイでなくても、同じことを口にしたくなる。
電気つけて明るくしてみたら、思ったより色白じゃないな。
意外と褐色も目立つ。
それでもかまわない。
さあ、楽しもう。
ときどき、びくっ、びくっと音もなく脚を動かすのがそそる。
これは写真では表現できない。
動画も撮ることにする。
君が死んでも、この動画は残る。
永遠にデジタルの中を生き続けろ。
動画撮影途中、まさかのバッテリー切れ。
もちろん、充電済みのもうひとつのバッテリーに換えた。
そして、まさかの、メモリー切れ。
これは初体験だ。
メモリーはもうひとつのカメラのを挿した。
撮影は続けられる。
思わず触りたくなるが、けっして触らない。
静かに背中をそらす時間が長い。
痺れを切らし、何度か撮影は中断した。
同じ姿勢でいるこちらのほうがつらい。
三脚は使っていないから。
若さに付き合いきれず、つい、寝落ちしてしまった。
一度目が覚めてからもフラフラで、あらためて布団で寝た。
7時半過ぎに目覚めたとき、どこに行ってしまったのか?
心配したが、すぐ近くにいた。
女の証である証拠写真を撮るとき、はじめてその体に触った。
脚をばたつかせながら、無言の抗議を受けた。
無視して、俺は、庭に出るガラス戸から彼女を家の外に出した。
もう外は明るい。
一度は網戸に爪をかけたが、すぐ飛んで逃げた。
と思ったら、今度はアサガオのネットにつかまった。
まだそのやわらかい肢体はオトナになりきれていないのかもしれない。
しかし、ついに8月9日8時9分、意を決したか、飛び去った。
以下に、写真と動画の一部を公開しよう。
見る?あんたも好きねえ。
透けて見えるが、フラッシュ焚いたら普通のアブラゼミの翅の色だった。
この後、8時9分に飛び立った。8月9日8時9分。
なお、「半沢直樹」の大和田常務は、最後には土下座をしたが、俺はしないからな。