リクルートという、いかがわしい会社から学ぶ
目次
きっかけ
ビジネスブックマラソンで知って『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読んだ。
※ ビジネスブックマラソンの該当ページは以下
いやあ、これは面白いわ。大変な力作。
企業と起業について興味があるなら、絶対のおすすめ。
読んでいて一番ウルッとしたのは、帯にもなっている
「おまえら、もっといかがわしくなれ!」
のところ。
これから読む人の感動を奪いたくないので、そこについてはあえて触れない。
(目次を見れば、そこまでショートカットできるが、順番に読むのがおすすめ)
リクルートと私のかかわり
(以下は、本書とは直接関係ないので、本の感想、レビューを期待する方は読み飛ばしていただきたい)
リクルートのテレビCMを見るようになったのはいつからだろうか。
とらばーゆのCMは特に好きだったな。
かつてCMでは最後に必ず「リクルート」と入っていたが、リクルート事件後からそれがなくなった。
リクルート事件が起きたのは私が大学1年のとき。
未公開株っておいしいんだというのをそれで知った。
これは読みながら思い出したことだが、四半世紀以上勤めている今の会社、リクルート発行のアルバイト情報誌『FromA』で知ったのだった。
正社員募集もあったのでそれで応募して、採用された。
採用の電話が来たのは、私がバイト中で、大学院の修了式の2日前だった。
企業研究もなにもなく、ふらっと行ってあっさり採用された(一応2次面接まではあった)会社であり、新卒の研修で初めて知った。他の同期もそうだったようだ。
何を知ったって、株式公開を目指しているということをだ。
新卒の研修で経理課長から持ち株会の説明もあった。彼はリクルート出身のバイタリティあるれる面白い人だった。当時まだ30前後だったと思う。
「リクルート事件知ってる人?」と聞いて、私以外ほとんど手を挙げなかった(同期は24人くらい)。知っていてもただ手を挙げなかっただけだと思っていたが、当時ですでに事件から6年近くが経過しており、短大卒の子ならば中学生のころの話だから、本当に知らなかった人もいるかもしれないと今にして思う。
文脈は全然覚えていないのだが、「リクルートというのは面白い会社で、アルバイトがものすごい権限を持っている」という一言がずっと自分の中に残っている。
いま私が勤めている会社もアルバイトがいなければ絶対に成り立たない会社であり、おそらくそれに関連しての話だったのだと思う。
持ち株会のことに話を戻すと、「会社に交渉して、持ち株奨励金5%つけた」と経理課長は言った。すでに当時から超低金利だったので、おお!っと私は思ったが、「なんだよ、ちょっとはもっと感動してほしいな。頑張ったのに」と全体は無反応だったのだろう、がっかりしていた。
未公開株で夢の金利(単利だけど、それも1回ぽっきり)5%もつけてくれるなんて!なんてすごい会社に入ったんだ!(よく知りもせず)と一人心躍った。
それで、それで、いくらまで?「1000円単位で1万5000円まで」今度は私ががっかりした。たったそれだけ?毎月10万くらい突っ込みたかった。
なんせ、初任給がいい会社だった。
今でもものすごい後悔しているのは、未公開時に臨時で50万円の増資を募ったのを見送ってしまったことだ。 どんなにどんなに少なく見積もっても、現在その4倍にはなっている(きちんと計算すればそれどころではないはずだ)。
持ち株会は、購入手数料がかからず、しかも毎月定額で増やせる。
ちょっとここで問題。次の購入方法、どちらが得か?
- 毎月、定額で同じ株を買う(株数はばらつく)
- 毎月、一定の株数を買う(購入額はばらつく)
この問題、学生時代に趣味で解いていた。記憶違いでなければ、この本の演習問題に出ていた。
(私が持っているのは復刻版ではなく、上・下の分冊だ。家のどこかにあるはず)
答えは1.
大学入試の数学の証明問題でもおなじみの(ついこの前YouTubeで見た東大の2006年の入試問題もそれで2行で解けるとやってた)相加・相乗平均の関係で瞬殺。
株価が毎月一定額という現実にはあり得ない状況でない限り、1.と2.は同じにならない。つまり1.の圧勝である。
通常、株式市場では2.でないと購入できない(現在では野村證券のるいとうなど、この「ドルコスト平均法」を利用した投資もできる。私もやったことがあるが、手数料が割高で、すぐにやめた)。だから、1.である持ち株会はおいしいのだ。
さらに、配当は全額持ち株会で再投資。マジかよ。複利計算でガンガンに増えていくではないか。
指数関数の驚異は、これまた数学で学んでいたので、こんなにおいしい話はないとつくづく思った。
しかも未公開株である。上がるに決まっている。
別ルートですでにあった数学の知識とリクルート事件の化学反応により、定年を待たずにいつでも会社辞めても大丈夫だなと思えるくらいの資産になった。
はじめから、自分で作る退職金と思っていたが、実際にかなった。
さまざまな人を巻き込んだリクルート事件だが、個人的には、未公開株のおいしさを教えてくれて、心からありがとう、だ。
もう一つ。
本を躊躇なく買うようになったのは、2013年からのようだ。まだ10年たっていないことに自分でも驚く。
購読するビジネス書、リクルート出身者が多いなということにいつしか気づいた。
「アルバイトがものすごい権限を持っている」「リクルート事件で多少知った会社、そして創業者の江副浩正という男」「彼なくしては株式公開はあり得なかったであろう元経理課長」「いろいろなビジネス書の著者」
有形無形で実にいろいろな形で自分の人生にリクルートという会社がかかわっている。
そんな中で、この『企業の天才』を読み始めた。
他人にとってはどうでもいいことかもしれないけど、自分の中ではどうしても外せない前提なので、長くなったが、ここに記しておく。
書いたことによって、もうこれらのことはいったん忘れられて、脳の空き容量が増えるかもしれない。
第一部
いったんここまでかな。